苦手分野を克服するには

契約書翻訳と一口にいっても、いろいろな分野の契約書があります。時にまったく未知の分野の契約書を請け負うこともあります。未経験の分野に当たったとき、私はできるだけ関連する書籍を1冊は購入しその分野の背景を調べるようにしています。私の本棚には、これまでに翻訳する機会があった分野の専門書籍が何冊もあります。ちょっと特殊な分野もあって、これらは翻訳で請け負わないかぎりは絶対に読むことのなかった本といってよいでしょう。

同じクライアントから継続的に翻訳を依頼されることがあります。出版契約や証券貸借(貸株)取引といった、当初は未経験の分野だったのが、一定期間請け負ううちにいつのまにか得意な分野になっていることもあります。英文契約書の翻訳が必要とされる分野は多岐にわたり、一人の人間が全ての分野の業務に精通することは不可能でしょう。その業務を遂行した経験はなくとも、書籍等から得られる背景知識だけでも十分に役に立つことはあります。そして苦心して未経験の分野の契約書を翻訳し上げることで、一つの知識を得られることもあります。また、日頃から証券の知識を得るためにプライベートで実際に株の売買をやってみたという人や、金融分野の知識を得るために関連する書籍を何十冊も読破したという人もいるようです。日々の経験の積み重ねこそが、苦手を克服するカギとなるのではないでしょうか。

未経験の分野を翻訳するのは新しい知識と経験を得られるチャンスです。苦手意識を持ったり、知識不足なまま自分勝手な翻訳をしたりしないで、その分野に興味を持って情報を集め、関連する書籍を読んでみましょう。経験を積んでいくうちにいつの間にか得意分野になっていることもありますよ。
(執筆:吉野弘人)