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西田講師のワンポイントレッスン

◆ ワンポイントレッスン目次 ◆

日本語の文章表現力を強化しよう(2003年7月25日)

訳文のチェックポイント


日本語の文章表現力を強化しよう(2003年7月25日)

訳文(日本語文)に見られる問題点
過去数回にわたるジェックス英日契約書翻訳・通学講座で、受講者の課題訳文(日本語文)を添削させていただいて分かったことですが、正しい英文解釈ができていないことに起因する意味不明のものは別にして、多くの訳文に二種類の問題が見られます。一つは、文章作法の問題です。例えば、文章として完成していない(文章が構造的に正しくない)、助詞や句読点などの使い方が適当でない、表現が日本語として不自然であるなどの理由で読みにくく、文意が理解しにくいという問題です。もう一つは、例えば、英語の “sale”の訳語にあたる「販売」と「売却」が場面に応じて適切に使い分けられていないといった訳語選択の問題です。また、法律文書や契約書に馴染まない口語的な表現が使われるのもその例です。そこで、英日翻訳における日本語の表現力について思うことを述べます。ご参考になれば幸甚です。

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学校の国語教育

英日翻訳では、英文解釈力は当り前のこととして、翻訳のアウトプット手段である日本語の文章表現力が最も重要な要素になります。この力を磨かなければ、実務上通用する翻訳は望むべくもないと言っても過言ではないでしょう。しかし、その習得は、各自に任されています。私自身、学校で日本語の言語学的教育を受けた記憶がありません。また、日本語の文章表現について特に問題意識をもつようになったのは、実は翻訳の学習を始めるようになってからです。ちなみに、渡辺昇一氏も「英文和訳や和文英訳や英文法は、(中略)外国語と格闘していると思ったら、(中略)日本語と格闘していたことに気が付くのである」とか「日本の国語教育は、国語の文学的教育があるにすぎず、国語の言語学的教育は英語の時間にもっとも徹底的に行われている」と書いています。
これとは対照的に、米国では小学校からparagraph writingと呼ばれる国語教育が行われていると聞きます。英語には構造性をもった文章作成の基準がつくられているのに対して、日本語にはそのような基準は存在せず、文章の構成は筆者の恣意に任されていることが両国の国語教育の違いに現れていると考えられます。

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日本語の文章表現力をいかにして強化するか
では、日本語の文章表現力をどのようにして強化すればよいのでしょうか。文章の有効な上達法は、すでに言い古されていることですが、多くの諸先輩が言われるように、できるだけ多くの書物を読み、そして実際に文章を書く以外にはないと思います。とは言っても、契約書翻訳などビジネス翻訳では、文芸翻訳などと違って文学的に優れた表現を必要とせず、原文の情報を過不足なく正確に読者に伝えることが基本になります。場合によっては、文章を読みやすくするために原文にない情報を付け加えたりして日本語の表現を工夫することがあっても、この基本を忘れてはなりません。奇をてらった文章よりも正確で分かりやすい、日本語として自立した(原文を読まなくても原意を理解できるという意味で)文章が求められます。そこで、規範となる文章を探して読み、それを真似るなど的を絞れば、効果的な学習ができるはずです。例えば、毎日読む新聞も単に記事を読むだけでなく、翻訳者の目で(文章を書く立場で)問題意識をもって読めば、文章構成、用語・句読点・助詞の用法、送り仮名など多くのことを学ぶことができます。国語表記辞典や用字用語辞典も販売されています。法律・契約の分野ならば、六法全書、法律用語辞典、契約書の様式集などで使われている用語や表現を調べることもできます。そして、書くことでは、日記や手紙、メモをこまめに書く、新聞、雑誌などの投稿欄に投稿する等々。日本語文章能力協会が年3回実施している日本語文章能力検定もあります。要は、問題意識をもって自分で調べて、実際に文章を書くことです。このような積み重ねの成果は、必ず日本語の文章表現力に表れるはずです。翻訳者を目指しておられる方は、翻訳の学習と並行して、ご自分に合った方法でぜひ日本語の文章表現力を強化されるようお勧めします。


訳文のチェックポイント

訳文のチェックについて
ジェックスの通信・通学講座を受講しておられる方は、課題訳文を十分にチェックして提出されているでしょうか。ジェックスの契約書翻訳初中級講座で受講者の課題訳文を見せていただいて感じたことです。私自身、仕事をするたびに一発でチェックのいらない訳文に仕上げたいと思うのですが、チェックすると必ずと言っていいほど間違いが見つかります。一流のプロの翻訳者といえども、出来上がった訳文をチェックしないで納品している人はいないはずです。チェックは、訳文の質を上げるために必要不可欠なステップです。以下に私流訳文のチェックポイント(英日翻訳の場合)を紹介しますので、ご参考にしていただければ幸いです。

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原文(英文)の解釈
◆原文(英文)が正しく解釈できているか。
  英文解釈で英文法の知識が強力な武器であることは言うまでもありませんが、それだけでは不充分で、
  前後関係や背景などから判断しなければ、正しい解釈ができないことがあります。たとえば、修飾語がか
  かる範囲を文脈から判断せざるをえない場合です。特定の専門分野にかかわる内容は、専門用語を含
  み 、その内容が理解できる程度の調査をしなければ、正しい解釈ができない場合もあります。多義語の
  場合、辞書は丁寧に引いて適切な訳語を選択しなければ、正しい解釈ができないことがあります。

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訳文(日本文)のチェック
◆訳文を読んで文意が理解できるか(筋が通っているか)。
  これは原文が正しく解釈されているかどうかを判断するバロメータになります。
◆日本文、法律・契約文としておかしくないか(場違いな口語表現が使われていないかを含む)。
◆訳語の選択が適切であるか。

  英語ではひとつの単語であっても、日本語の訳語はいくつもあって、場面によって使い分けなければなら
  ないことが多々あります。用語が実際にどのように使われているのかを辞書、参考書、六法全書、
  契約書、新聞などで確認する必要があります。
◆用語や表現の裏付けをとってあるか。
  契約書の用語や文体は、大体決まっていますので、専門辞書や参考書などで確認して使う必要がありま
  す。くれぐれも我流は控えるべきです。
◆語句レベル、節レベル、文レベルで訳抜けがないか。
◆誤字(ワープロ変換ミスを含む)、脱字がないか。
◆不必要な補足、冗長・曖昧な表現がないか。
◆カタカナ表示の中点(中黒)・音引きの有無、用語などは統一されているか。
◆句読点、送り仮名は適切か。
◆助詞の用法は適切か。
◆括弧、記号などの用法は適切か。
◆フォント、フォントサイズ、字数・行数は、指定されている通りか。(指定がない場合、業界標準に準拠して
  いるか。) 
◆原文を無視したレイアウト(段落、改行、付番など)になっていないか。

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